日本皮膚科学会雑誌
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アトピー性皮膚炎の難治化における心理社会的負荷の関与について―コンサルテーション・リエゾン医療の試み―
檜垣 祐子有川 順子吉原 伸子川本 恭子加茂 登志子堀川 直史川島 眞
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2000 年 110 巻 1 号 p. 27-

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抄録

アトピー性皮膚炎(AD)の増悪因子の一つとして,心理社会的負荷の関与が考えられる.そこで,患者の心理社会的負荷とADの増悪との関連について,入院治療中の重症AD患者について,精神科医が面接を行い検討した.また患者の精神的健康状態を客観的に把握するため,精神健康調査票(General Health Questionnaire30)を施行した.その結果48例中40例,83.3%で心理社会的負荷がADの増悪に関与したと考えられた.心理社会的負荷としては家庭内の問題や職業上の問題が多かった.GHQ30の総点の平均は13.5で,7点以上の何らかの問題ありが31例,83.8%を占めた.精神症状に関しては中等度以上の症状を示す例が少なくなかった.精神科診断としては「一般身体疾患に影響を与えている心理的要因」が36例と最も多く,以上より,個々の患者の精神症状の有無やADの増悪因子としての心理社会的負荷など心理的要因に配慮し,ADの診療に当たることが重要と思われた. 

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