日本皮膚科学会雑誌
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尋常性乾癬に対する抗甲状腺剤内服療法 (群馬大学)の有用性について
安部 正敏大西 一徳青山 久美田村 敦志長谷川 道子石川 治村上 正巳
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2000 年 110 巻 10 号 p. 1549-

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抄録

尋常性乾癬に対する抗甲状腺剤の有効性は海外での報告はあるものの,本邦では報告されていない.今回,我々は本邦内分泌学領域でのチアマゾールの使用法を踏まえた治療プロトコールを群馬大学法として独自に設定し,10例の尋常性乾癬を治療したところ良好な結果を得た.3例で皮疹がほぼ消失,5例で皮疹の改善,2例では皮疹が増悪した.副作用として,1例でチアマゾールによる薬疹が出現,1例でトランスアミナーゼの上昇を認めた.この他,3例に瘙痒感が出現したが,何れも抗ヒスタミン剤内服でコントロール可能であった.一方,本療法施行中の患者における甲状腺機能については,血中TSH値低下例が7例認められたが,甲状腺専門医指導下に継続投与が可能であった.また,今回の治療期間内では,血中甲状腺ホルモン値自体に変化は認められなかった.チアマゾールは無顆粒球症をはじめ,重篤な副作用もおこりうるが,可逆性のものがほとんどである.本療法を行う場合,十分なインフォームドコンセントと内分泌専門医との連携が必要である.出現する副作用や患者のコンプライアンスおよび経済的負担を考えた場合,我々の設定した治療法は乾癬患者のQOL改善に貢献する治療であると思われた.

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