2000 年 110 巻 11 号 p. 1717-
ステロイド外用療法を中心とした従来の治療に抵抗性の,また,ステロイド長期運用により副作用を生じた重症アトピー性皮膚炎に対して,我々はPUVA療法を施行し,目覚ましい効果をあげてきた.しかしながら,PUVA自体の弊害に加え,個人的,社会的制約を強いられるといった本療法の問題点も無視できない.これらの問題点に対し我々は従来のPUVA療法にステロイド剤を3日間のみ併用するステロイド短期内服併用PUVA療法を試み,その有効性について報告してきた.そこで今回,さらに症例数を追加し,総例243例を,Ⅰ群:PUVA及びステロイド併用療法群(146例),Ⅱ群:PUVA単独療法群(97例)の2群に分け,その有効性について比較,再検討した.その結果,総照射量はⅡ群の119.6J/cm2に対し,Ⅰ群では73.7J/cm2と減少した.また,治療期間に関しても,Ⅱ群で28日要したのに対し,Ⅰ群では19日と短縮した.即ち,ステロイドの短期併用療法はMPDの延長をもたらし,効率的に照射できるため総照射量を減少させ,治療の患者に与える時間的,経済的負担,さらにはPUVA療法自体のリスクの軽減を可能とした.