2000 年 110 巻 3 号 p. 289-
58歳,女性にBCG接種後生じた尋常性狼瘡の1例を報告するとともに,文献的考察を加えた.症例は11歳時に左上腕にBCGを皮内接種法で接種されたが,接種部位は徐々に隆起,増大し紅色局面を形成した.初診の3ヵ月前から急激に増大したため当科を受診した.ツベルクリン反応は中等度陽性で病理組織学的には類上皮細胞や巨細胞からなる類上皮細胞性肉芽腫であり乾酪壊死は伴っていなかった.生検皮膚組織よりBCG-TOKYO株を分離同定しBCG誘発性の尋常性狼瘡と診断した.BCG接種部位に生じた皮膚結核の報告例をまとめた.