日本皮膚科学会雑誌
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扁平苔癬におけるvascular endothelial growth factorの発現とその意義
孫 令山崎 研志白方 裕司村上 信司佐山 浩二橋本 公二
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2000 年 110 巻 9 号 p. 1395-

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抄録

Vascular endothelial growth factor(VEGF)は血管内皮増殖因子および血管透過性亢進因子として発見され,いくつかの皮膚疾患においてその発現が誘導されていることが報告されている.特に尋常性乾癬においては肥厚,増殖した表皮においてVEGFが増加し,表皮直下の毛細血管拡張と炎症細胞浸潤という病態に関与していると報告されている.扁平苔癬は表皮の肥厚と真皮上層の血管新生,炎症を特徴とする炎症性角化症のひとつであり,乾癬と同様にVEGFの関与が推察される.そこで,扁平苔癬におけるVEGF蛋白の発現を免疫組織染色法で,VEGF mRNAの発現をribonuclease protection assay法で検討した.扁平苔癬の病変部表皮ではVEGF蛋白が強く発現しており,その発現は表皮の上層で強く,細胞質に細顆粒状の染色性を示した.VEGF mRNAは扁平苔癬表皮では正常表皮に比較してVEGF121/145が2.0倍,VEGF165/206が1.5倍,VEGF189が2.1~2.6倍に発現が増加していた.真皮部位の血管内皮細胞を抗CD34抗体で染色し,検体の表皮を非病変部,移行部及び病変部の三つの部分に分けて真皮毛細血管密度を測定し,VEGFの発現との関係を検討した.移行部及び病変部の毛細血管密度は非病変部と比べて有意に増加しており,VEGFの発現の程度と相関していた.このことから,扁平苔癬において表皮が産生するVEGFは,真皮毛細血管の増殖と拡張に密接に関与していることが推察された.

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