日本皮膚科学会雑誌
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自己免疫性水疱症の口腔粘膜病変に対するステロイド局所治療
田中 まり東山 真里櫻根 純子板見 智吉川 邦彦黒川 信夫郡 孝子勝浦 正人池田 賢二
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2000 年 110 巻 9 号 p. 1403-

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抄録

自己免疫性水疱症の口腔粘膜病変に対し,口腔用ステロイド軟膏塗布+口腔用ヒドロキシプロピルセルロース(HPC)フィルム貼付(以下外用貼付療法と略)を試みた.一部の症例にはステロイド局注を併用した.対象は口腔粘膜病変を有する自己免疫性水疱症患者10名(男4名,女6名),年齢は23~73歳(平均50.5歳),疾患は尋常性天疱瘡(PV)8例,尋常性天疱瘡と落葉状天疱瘡(PF)の合併1例,瘢痕性類天疱瘡(CP)1例であった.8例はステロイド内服中であり,これまでの全身療法は継続とした.口腔用ステロイド軟膏及びフィルムの調整にはHPCを用いた.外用貼付療法は,口腔用ステロイド軟膏を1日3回単純塗布しさらに毎日眠前に軟膏塗布後フィルム貼付を施行した.ステロイド局注は,1回量トリアムシノロン2~8mgを2~4週間に1度受診時に施行した.効果は判定期間を4週間とし,びらんの縮小率で著効,有効,不変,増悪の4段階で判定した.10例中,外用貼付療法と局注の併用を6例(PV4例,PV+PF1例,CP1例),外用貼付療法を4例(PV4例)で行った.外用貼付療法と局注の併用例,外用貼付療法単独例ともに著効が50%,有効が50%で,不変及び増悪はなかった.対象を3群に分けた検討では,ステロイド非内服群でも有効であり,口腔粘膜病変長期難治群でも粘膜疹が改善しステロイド内服が減量可能となった.副作用では口腔内カンジダ症,黄色腫様変化が各2例あった.口腔粘膜病変のみ難治の為内服ステロイド減量困難な例や,合併症や副作用で早期減量が望まれる例,さらに疼痛緩和目的に局所療法は有用な補助療法であり,口腔粘膜のみに病変が限局し抗体価も低値の症例には,ステロイド全身投与の前にまず試みる価値があると考える.

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© 2000 日本皮膚科学会
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