日本皮膚科学会雑誌
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原著
眼瞼部および眼瞼周囲の基底細胞癌に対する手術方法の検討
岩崎 泰政波多野 裕二野田 英貴河合 幹雄水野 寛山本 昇壯
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2001 年 111 巻 1 号 p. 27-36

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抄録

広島大学皮膚科で行った32例の眼瞼部および眼瞼周囲の基底細胞癌に対する手術の方法を検討した.部位は内眼角部および下眼瞼部が大半を占め,内眼角部の11例では,1例のみ腫瘍切除時に上下両方の涙小管の切除が必要となり涙管の再建を行ったが,多くは単純切除あるいは植皮術で十分であった.一方,下眼瞼部の17例では,眼瞼の全層欠損となる症例が多く,また欠損幅に応じて手術方法が異なった.すなわち眼裂幅の26%までの欠損では楔状切除のみで単純縫縮できたが,28%までの欠損では楔状切除後に切除断端は縫縮可能であるが,皮膚側に頬部皮弁を併用しなければならなかった.さらに欠損幅が35%までの症例では,外眼角靭帯切離を行うことで切除断端が縫縮可能であった.ところが35~45%の欠損では切除断端は縫縮できず,上眼瞼を用いたswitch flapによる再建が必要であり,さらに欠損幅が46%以上の症例では,鼻中隔軟骨粘膜移植と頬部皮弁の併用による再建を余儀なくされた.また,いずれの手術も整容面および機能面とも満足のいく結果が得られ,それぞれは有用な手術方法であると考えられた.さらに今回の検討で,術前に撮影し,拡大した臨床写真からほぼ正確な欠損幅が予測でき,比較的容易に手術方法を決定することが可能となった.

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© 2001 日本皮膚科学会
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