日本皮膚科学会雑誌
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原著
水疱性膿痂疹とブドウ球菌性熱傷様皮膚症候群から分離した黄色ブドウ球菌のコアグラーゼ型と表皮剥脱毒素:MSSAとMRSAの比較検討
西嶋 攝子東田 敏明大島 茂中矢 秀雄
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2001 年 111 巻 10 号 p. 1485-1488

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抄録

1999年7月から2001年2月の期間に経験した水疱性膿痂疹(膿痂疹)34例とブドウ球菌性熱傷様皮膚症候群(Staphylococcal scalded skin syndrome,SSSS)6例から分離した黄色ブドウ球菌(黄色ブ菌)のコアグラーゼ型(コ型)と表皮剥脱毒素(exofoliative toxin,ET)の種類を,methicillin-sensitive Staphylococcus aureus(MRSA)とmethicillin-resistant Staphylococcus aureus(MRSA)に分けて検討した.その成績は①MSSA膿痂疹18例ではコI型が8株,全てET-Bを産生し,コV型が10株うち8株がET-Aを産生し,2株がET-AとBのdouble producerであった.②MRSA膿痂疹16例ではコI型が13株,全てET-Bを,コIII型が3株,全てET-Aを産生した.③SSSS 6例ではコ型はすべてI型であり,すべてET-Bを産生した.まとめると①膿痂疹,SSSSから分離した黄色ブ菌のコ型は,I型が26株(65%),V型が11株(27.5%),III型が3株(7.5%)であり,I型が最も多かった.②コI型はET-Bと,V型はET-Aと相関した.③コV型はMSSAのみから分離された.この結果から膿痂疹,SSSSにおいて,原因黄色ブ菌のコ型および産生ETの種類は,薬剤耐性の影響を強く受けていると考えられた.

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© 2001 日本皮膚科学会
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