日本皮膚科学会雑誌
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原著
強皮症・多発性筋炎患者に発生したB細胞リンパ腫―血球貪食症候群を合併した1例―
磯村 巌森田 明理辻 卓夫
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2001 年 111 巻 2 号 p. 171-178

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抄録

58歳,女性.1983年11月にRaynaud症状,下肢筋力低下が出現.近医にて強皮症,多発性筋炎と診断される.1987年に名古屋市立大学病院第3内科を受診.プレドニゾロン15 mg/日,ミゾリビン150 mg/日内服治療にて症状および血清学的にも安定していた.1999年2月中頃より右側胸部に腫瘤出現,その後増大し,さらに圧痛・局所熱感・39°Cの発熱・全身倦怠感が出現したため,3月9日入院.3月15日皮膚科紹介受診.4×3 cmのやや境界不明瞭な皮下腫瘤を認め,側胸部にかけて皮下硬結を認めた.検査上,白血球上昇,赤血球・血小板減少,LDH高値,CRP高値.骨髄穿刺にて血球貪食像.皮下硬結部の皮膚病理組織では,真皮および皮下組織への多数の大型異型リンパ球の浸潤と,bean bag appearanceを呈した組織球を認めた.以上より本例を血球貪食症候群を合併した悪性リンパ腫と診断した.悪性リンパ腫はCD 20(+),CD 45 RO(–),CD 3(–)でB細胞性であり,血球貪食症候群を合併する症例としてはまれであった.

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