日本皮膚科学会雑誌
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原著
フィラリア症による慢性リンパ浮腫と重症リンパ漏―シロスタゾール内服が有効と思われた1例―
増澤 幹男原 尚道宮田 聡子天野 隆文浅井 俊弥加藤 一郎西山 茂夫勝岡 憲生
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2001 年 111 巻 2 号 p. 179-183

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抄録

慢性フィラリア症の41歳男性が学童期からの右下肢リンパ浮腫を主訴に18年前当科を受診した.さらに平成5年より陰嚢からの乳び性リンパ漏を併発した.種々加療するも年々増悪してきた.平成11年夏シロスタゾールの内服療法を開始してから,一日1,500 ml以上漏出していたリンパ漏が約1/3に減少し,内服半年後よりリンパ浮腫も徐々に改善してきた.この改善は抗血小板剤としてのシロスタゾールの薬理作用である“血管拡張を伴う血行促進作用”で,水流式アスピレーター様の機序により血管からのリンパ再吸収が促進されたためと考えた.本例の治療結果から,シロスタゾールはリンパ浮腫およびリンパ漏に対して有用な治療剤である可能性が示唆された.

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© 2001 日本皮膚科学会
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