2001 年 111 巻 6 号 p. 961-964
再発を繰り返す線状病変部をともなった67歳男性について報告した.過去数年間にわたり,左下腿に丘疹および小水疱が認められ,組織学的には炎症細胞浸潤をともなった表皮の棘融解像が認められていた.診断としてはBlaschko線に線状に一致したtransient acantholytic dermatosis(TAD)と考えられた.TADの報告例のなかでHerpes zoster様の広い帯状の皮疹配列を呈した症例の報告は今までに2例あったが,自験例のような線状を呈した症例の報告例はなく,稀な症例と考え,若干の文献的考察を加え報告した.