日本皮膚科学会雑誌
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原著
全頭型・汎発型円形脱毛症の治療:成人患者に対する治療方法の選択とその有効性の比較検討
山下 眞之坪井 良治高森 建二
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2001 年 111 巻 8 号 p. 1215-1221

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抄録

1994~98年の5年間に順天堂大学医学部皮膚科を受診した円形脱毛症患者のうち,15歳以上で6カ月以上治療し得た急性全頭型を除く全頭型患者108人および汎発型患者175人,計283人に対して,4つの治療法を実施し,治療効果,再発率,副作用などを比較検討した.治療法の内訳は,1群:局所免疫療法(58人),2群:副腎皮質ホルモン外用剤療法(85人),3群:副腎皮質ホルモン剤内服・外用療法(104人),4群:副腎皮質ホルモン剤内服・外用および8-MOP内服全身PUVA併用療法(36人)であった.効果判定は,頭髪の発毛状態をスコア化し,その変動により評価した.その結果,有効率と著効率はそれぞれ,1群:41.4%(15.5%),2群:37.6%(23.5%),3群:57.7%(43.3%),4群:72.2%(61.1%)(カッコ内は著効率)であった.また,再発率は略治後の再発率は,1群:66.6%,2群:30.0%,3群:35.6%,4群:13.6%であった.有効率は,3群,4群が,1群,2群に比し有意に優れており,特に4群は,有効率が最も高く再発率は最も低かった.また,1群は有効率は高いが,著効率が低く再発率が高い傾向が認められた.略治までの副腎皮質ホルモン剤の内服総量の平均は,4群は,3群に比し約15%少なかった.副作用は1群を除くいずれの治療群にも副腎皮質ホルモン剤の内服・外用によると考えられる副作用が高頻度に出現したが,いずれも治療終了までに,軽快あるいは改善傾向を示した.今回比較検討した4つの治療法の中では,副腎皮質ホルモン剤内服・外用8-MOP内服全身PUVA併用療法が,治療効果,再発率いずれも有意に他の治療法に比し優れており,全頭型・汎発型脱毛症に対し有効な治療法と考えられた.

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