日本皮膚科学会雑誌
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原著
脱ステロイド療法にて増悪後,入院治療を行ったアトピー性皮膚炎患者の分析
越後 岳士蕪城 裕子島田 由佳竹原 和彦
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ジャーナル 認証あり

2002 年 112 巻 11 号 p. 1475-1479

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抄録

脱ステロイド療法を行っていたが,不成功に終わったアトピー性皮膚炎患者の現在の治療状況と入院前後のQOLの変化を比較した.他の医療機関等による各種脱ステロイド療法にて増悪後,1995年から2000年までに当科にて入院治療を行ったアトピー性皮膚炎患者80名(男性32名,女性48名)にアンケート調査を行い,現在の治療状況と入院前後のQOLを比較した.入院時年齢は6カ月から44歳(平均20.0歳),入院期間は4~46日(平均16.6日)であった.脱ステロイド療法は,皮膚科医によるものが9名,皮膚科医以外の医師によるものが43名,特定の民間企業によるものが15名,患者自身が購入した市販品などによるものが13名であった.調査の結果,かゆみの強さ,仕事や学業における集中力,治療やスキンケアにかかる費用・時間ともに改善しており,ステロイドとタクロリムスを中心とした外用療法に対し満足しているという結果が得られた.当院での治療・教育をかねた入院治療により,その後の患者のQOLは著しく改善した.また,日本皮膚科学会の「アトピー性皮膚炎治療ガイドライン」に基づくステロイドとタクロリムスを中心とした外用療法により良好な状態を維持できることが示された.

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© 2002 日本皮膚科学会
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