日本皮膚科学会雑誌
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原著
In vivo共焦点レーザー顕微鏡を用いたヒト皮膚断面像に関する検討
坂巻 剛
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ジャーナル 認証あり

2002 年 112 巻 11 号 p. 1501-1505

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抄録

非侵襲で皮膚内部の断面像が観察可能なin vivo共焦点レーザー顕微鏡を用い,健常女性身体各部位の皮膚を対象とし,その内部構造について検討を実施した.20歳~30歳代の健常女性14名の前腕伸側部・上腕屈側部・顔面頬部について,表皮の厚さ,真皮乳頭の深さ・幅・密度を計測した.その結果,角層の厚さについては部位による差はなかったが,表皮全体の厚さでは,前腕伸側部で他の部位と比較して厚いといった部位差が認められた.また真皮乳頭層の形状は,前腕伸側部では,幅の狭い真皮乳頭が密に存在していたのに対し,上腕屈側部では幅広く浅い真皮乳頭が,顔面頬部では幅の狭い真皮乳頭が広い間隔でまばらに存在しており,その形状は部位により異なっていた.これらの観察結果から,身体各部位の表皮の厚さや真皮乳頭層の形状を決定する要因として,表皮増殖の程度に加え,他の因子も関与している可能性が示唆された.

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© 2002 日本皮膚科学会
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