日本皮膚科学会雑誌
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原著
思春期後発症の女性痤瘡患者におけるcorticotropin-releasing hormone(CRH)試験による視床下部―下垂体系の機能異常
佐藤 優子相澤 浩新村 眞人
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2002 年 112 巻 4 号 p. 377-383

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抄録

痤瘡は精神的ストレスにより増悪することが知られている.ストレス時にはcorticotropin-releasing hormone(CRH)が増加し,視床下部―下垂体―副腎皮質系が亢進する.われわれは痤瘡患者における,主に視床下部―下垂体系の機能を検討するため,思春期後の女性痤瘡患者13例を健常者8例と比較しCRH試験を行った.CRH試験により痤瘡患者の血中cortisol(F)とdehydroepiandrosterone(DHEA)の基礎値,頂値,変動値はいずれも異常を認めなかったが,DHEAの血中濃度曲線下面積であるareaunder the curve(AUC)は低かった.また,痤瘡患者の血中adrenocorticotropic hormone(ACTH)値は頂値と変動値に有意差はなかったが,基礎値とAUCはいずれも健常群に比し,有意ある高値を認めた.また,痤瘡群13例中3例は,CRHに対してACTH値の反応亢進を認めた.しかし,痤瘡患者のdehydroepiandrosterone sulfate(DHEA-S)基礎値とACTH値の基礎値,頂値,変動値,AUCとは,いずれも相関関係を認めなかった.以上より,男性化徴候を伴わない本邦の女性痤瘡患者において,視床下部―下垂体系の軽度の機能異常を認める症例があり,そのことがストレスによる痤瘡病態の悪化と関連があることが示唆された.

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© 2002 日本皮膚科学会
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