2002 年 112 巻 7 号 p. 961-967
1976年から2000年までの25年間に旭川医科大学皮膚科を受診した有棘細胞癌111例について集計した.男性65例,女性46例,男女比は1:0.7で若干男性に多く,年齢層は60歳から急増し,70~80歳代にピークを形成していた.部位別頻度では顔面が最も多く53例(47.7%)で,次いで下肢14例,足11例であった.前駆病変の明らかな症例は57例51.4%で老人性角化症が27例と最も多く,熱傷瘢痕の12例がこれに次いだ.老人性角化症由来は男性13例,女性14例とほぼ同数で,瘢痕由来は男性14例,女性4例と男性に多かった.治療法は手術単独が77例(69.4%)と多く,次いで手術と化学療法の併用が21例(18.9%)あった.再発,転移は22例で,うち13例が腫瘍死した.TNM分類によるstage別の5年生存率はstage Iは100%,IIは79.3%,IIIは34.4%,IVは0%であった.予後と相関する因子としてTNM分類,原発巣の深さによるlevel分類のほか,前駆病変としての瘢痕があげられ,さらに性別では男性が5年生存率71%であるのに対し,女性は92.2%と有意に男性で悪かった.