日本皮膚科学会雑誌
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原著
下眼瞼悪性黒色腫におけるセンチネルリンパ節同定の試み
柴田 真一清水 京子安江 敬岩井 昭樹榊原 章浩富田 靖小林 英敏加藤 克彦柘植 勇人長坂 徹郎
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2002 年 112 巻 9 号 p. 1241-1245

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抄録

顔面,頸部ではリンパ流は複雑で,リンパ節も多数存在する.そのため顔面の黒色腫患者には現在センチネルリンパ節の試みはあるものの適応については意見の一致を見ていない.我々は顔面の黒色腫患者において,リンパ流とセンチネルリンパ節を明らかにし,顔面にもセンチネルリンパ節の概念が適応できる確信を得た症例を経験した.症例は69歳,女性.初診の5年前から左下眼瞼に褐色斑が出現.1年前より斑の中央が隆起し易出血性の黒色結節となった.臨床的に悪性黒子黒色腫と診断し切除術,予防的リンパ節郭清術をおこなった.術前に原発巣周囲に99mTc標識スズコロイドを皮内注射し,ガンマプローブを用いて集積部を検出し,術中に色素法により同リンパ節をセンチネルリンパ節と同定した.センチネルリンパ節にも,郭清したリンパ節にも転移を認めなかった.なお,ガンマプローブによるリンパ流のマッピングは顔面における予防的リンパ節郭清術の範囲を縮小できる可能性があると考えた.

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© 2002 日本皮膚科学会
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