日本皮膚科学会雑誌
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原著
家族性にみられた肥満細胞症
藤崎 亜紀久保田 由美子桐生 美麿中山 樹一郎
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2002 年 112 巻 9 号 p. 1271-1276

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抄録

5歳の男児.1歳頃,顔面に褐色斑・褐色~黄褐色丘疹が出現.全身に増数してきたため1998年9月当科受診.6人兄弟で姉,妹,弟に同様の皮疹を認める.皮疹と家族内発症よりjuvenile xanthogranulomaを合併したRecklinghausen病を疑い,皮膚生検を行ったところ,真皮上層から中層にかけて密な細胞浸潤を認め,浸潤細胞は類円形で好酸性の明るい細胞質と卵円形の核を有しており,toluidine blue染色で異染性を示す肥満細胞であった.また,摩擦により皮疹部に著明な膨疹形成を認めたためDarier徴候陽性と判定し,肥満細胞症と診断.血中のヒスタミン値の軽度上昇を認めた.肥満細胞症の家族内発症や遺伝性は極めて稀とされており,全世界では約50家系,本邦では1941年から1981年まで5家系の報告があるのみである.

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© 2002 日本皮膚科学会
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