日本皮膚科学会雑誌
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原著
アトピー性皮膚炎患者皮膚を用いた体系的遺伝子発現解析
廣瀬 智弘小林 幹朗荻原 淳望月 英子滝澤 靖子高木 啓能見 貴人角山 和久松七五三 仁小堀 正人五十嵐 美和古市 喜義上田 周石橋 睦子林 伸和村上 孝加倉井 真樹大槻 マミ太郎中川 秀己川島 眞
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2003 年 113 巻 7 号 p. 1095-1104

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抄録

アトピー性皮膚炎(以下ADと略す)の新たな治療標的分子及び診断マーカーを見出すことを目的として,cDNAアレイを用いたAD患者皮膚の遺伝子発現解析を行った.遺伝子発現解析は,他のアレルギー性疾患の合併がないAD患者及び合併のあるAD患者と健常人の皮膚を対象とし,炎症に関与する遺伝子,皮膚バリア機能に関与する遺伝子など,548遺伝子について実施した.その結果,58遺伝子の発現レベルが,健常人の皮膚と,合併症がないAD患者の皮疹部との間で異なっていることを見出した.この58遺伝子のうち28遺伝子は,これまでAD患者皮疹部での発現変動は報告されておらず,本解析で初めて明らかにすることができた.さらに,これら58遺伝子の発現プロファイルを用いることにより,合併症の有無に関わらず,AD患者の皮疹部と健常人の皮膚を区別することが出来ることが明らかとなった.このような体系的遺伝子発現解析は,ADの新たな治療標的分子及び診断マーカーを見出すことに有用であると考えられる.

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© 2003 日本皮膚科学会
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