日本皮膚科学会雑誌
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原著
腎カラードップラーエコー法で,腎血管抵抗の上昇を認めた抗RNAポリメラーゼ抗体陽性全身性強皮症の1例
西島 千博佐藤 伸一小村 一浩平田 昭夫竹原 和彦
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2004 年 114 巻 1 号 p. 49-53

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抄録

抗RNA polymerase(RNAP)抗体は,びまん性皮膚硬化型の全身性強皮症に特異性の高い自己抗体であり,同抗体陽性患者では心臓・腎臓病変の頻度が高く,広範な皮膚硬化を伴い,予後が悪いとされている.臨床的に腎機能の低下を認めない,抗RNAP抗体陽性68歳男性に腎ドップラーエコー法を施行したところ,両側腎において葉間動脈の血管抵抗の上昇を認めた.腎ドップラーエコー法により,潜在する無症候性の腎血管障害を評価しうることが示唆された.なお,トランドラプリルを投与したところ,腎血管抵抗は低下した.腎ドップラーエコー法は,腎クリーゼを来していないSSc患者の腎血管抵抗を評価する,非侵襲的で有用な方法である.抗RNAP抗体陽性患者では,腎血管抵抗の上昇を早期発見するために,定期的に腎カラードップラーエコー法で評価する必要があると考える.

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© 2004 日本皮膚科学会
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