日本皮膚科学会雑誌
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原著
環境中の白癬菌の付着,発病に対する外用抗真菌剤の予防効果
田中 公美加藤 卓朗入交 純也谷口 裕子西岡 清
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2004 年 114 巻 10 号 p. 1651-1654

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抄録
足白癬に対する1%塩酸テルビナフィンクリーム(ラミシールクリーム®)の予防効果について検討した.足白癬患者が使用したバスマットを健常被験者に踏ませ,foot-press培養法を用いて真菌培養を行い,その集落数を比較した.被験者が抗真菌剤を塗布しないでマットを踏んだ場合には多数の白癬菌が分離されたが,マットを踏む直前もしくは直後に抗真菌剤を塗布した場合には真菌培養陰性であった.1および3時間前に抗真菌剤を塗布した場合でも白癬菌の集落数は減少した.さらに3時間前に抗真菌剤を塗布し,マットを踏む直前に抗真菌剤を洗い落としても,集落数は同様に減少した.これらの結果は,主に培地上に白癬菌と同時に移行した抗真菌剤によると思われるが,さらに足皮膚角層に吸収された抗真菌剤にも十分な効果がある可能性を示唆している.以上より,抗真菌剤の塗布が付着した白癬菌の定着を抑制し,それによって発病を有効に予防しうると考えられた.
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© 2004 日本皮膚科学会
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