抄録
悪性黒色腫患者30例を対象に色素法,色素およびRI法併用によりsentinel node biopsy(以下SNB)を施行した.同定されたsentinel node(以下SN)について病理組織学的検索に加え免疫組織学的に評価した.色素法単独では18例中14例,RI法との併用では12例全例でSNが同定され,RI法を併用することでより正確に多数のSNが同定された.一方,一部の症例ではSNの解釈が問題となる例もみられた.すなわちRI法において同一ないし異なるリンパ節領域に複数のhot nodeが認められた例,従来知られているリンパ節領域とは異なる部位のリンパ節へ集積を認めた例,RIの集積は認めず色素法でのみSNを同定できた例があり,両者併用の必要性が示唆された.摘出されたSNの病理組織学的検索では,26例中5例でHE染色により転移が認められた.更に,連続切片の作製,免疫染色(HMB45,Melan A)の併用により微小転移が3例に確認された.以上の結果から,SNの同定には色素法のみならずRI法を併用すること,同定されたSNの評価は,永久標本として連続切片を作成し,HE染色に加えHMB45,Melan Aを用いた免疫染色の併用が有用であることが示唆された.