日本皮膚科学会雑誌
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原著
環状紅斑を伴った小児シェーグレン症候群
小田 真喜子雄山 瑞栄清島 真理子
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ジャーナル 認証あり

2004 年 114 巻 11 号 p. 1781-1786

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抄録

8歳,女児.父方の祖母にSLEあり.初診の1カ月前より右頬に痒みのない環状紅斑に気づいている.その頃より右の耳下腺腫脹を繰り返していた.2~3年前より多関節痛がある.発熱はない.軽度の口渇はあるが,眼乾燥症状は自覚していない.血液検査で,抗核抗体1,280倍(speckled pattern),抗Ro/SS-A抗体,抗La/SS-B抗体は共に陽性.サクソンテスト陽性,唾液腺シンチグラフィーでは集積の左右差がみられた.以上よりシェーグレン症候群(Sjs)の診断基準を満たし,同症と診断した.今回われわれは過去42年間の本邦における小児Sjsの報告例について統計的観察をおこなった.その結果小児Sjsでは成人例と比較して自覚的乾燥症状を欠き,耳下腺腫脹や関節痛を呈することが多かった.小児が繰り返す耳下腺腫脹や関節痛,環状紅斑を訴えて受診した場合には,自覚的乾燥症状がなくてもシェーグレン症候群を念頭において,血液検査,唾液腺検査,眼科的検査を積極的に行うべきと考えた.

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© 2004 日本皮膚科学会
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