日本皮膚科学会雑誌
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原著
皮膚小動脈炎による下腿潰瘍を契機に発見されたPrimary Sjögren’s Syndromeの2例
横井 祥子新関 寛徳松本 晴子柴 亜伊子樋口 昌則浅田 秀夫宮川 幸子
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2005 年 115 巻 1 号 p. 23-29

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抄録

症例1:55歳女性.2001年頃より口腔内乾燥症状,2002年秋頃より38°C台の発熱,両下腿にしびれ感と共に発赤腫脹,潰瘍が多発したため当科を受診した.入院前3カ月間で約5 kgの体重減少を認めていた.症例2:70歳女性.40歳頃より,眼球結膜の充血,45歳頃より口腔内乾燥症状が出現した.2001年6月より,両下腿にしびれ感と浮腫を認め,7月より下腿に潰瘍が出現したため2001年9月6日当科を受診した.入院前約2カ月間で約6 kg体重が減少した.共に,下腿の皮膚生検にて皮下脂肪層の小動脈のleukocytoclastic vasculitis(LeV)の像を認めた.各種検査にてprimary Sjören’s syndrome(primary SjS)の診断基準を満たした.プレドニン内服投与にて乾燥症状は改善,下腿潰瘍も上皮化した.primary SjSに生じる血管炎として過去の症例を検討した結果,自験例のごとく皮下脂肪層の小動脈にLeVの病理組織像を認めることは非常に稀であった.自験2例は下腿のLeVからprimary SjSが発見された稀な症例であるが,下腿潰瘍を認める症例でprimary SjSの検索を十分に行っていない可能性も考えられる.今後は急激にLeVによる皮膚潰瘍を認めた場合に,primary SjSの可能性も考慮し,検査すべきであると考えられた.

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© 2005 日本皮膚科学会
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