日本皮膚科学会雑誌
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原著
抗SS-A/Ro抗体陽性,著明な血小板減少を示し,肺梗塞を伴った抗リン脂質抗体症候群
藤沢 智美川合 さなえ山中 新也清島 真理子上杉 道伯
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2005 年 115 巻 10 号 p. 1481-1486

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抄録

15歳,男児.2004年5月より有痛性の下腿潰瘍が出現,多発してきた.血小板減少,APTT延長.抗カルジオリピンβ2GP1抗体と,ループスアンチコアグラントが陽性であり,6週後の再検も同所見であった.皮膚病理組織で潰瘍底周囲のリンパ球浸潤と小血管の血栓がみられた.肺CT,肺血流シンチで肺梗塞が検出された.腎静脈合流部直下より下大静脈は閉塞しており,大腿静脈,腸骨静脈,浅大腿静脈に血栓症があった.これにより腹壁静脈が側副血行路となり怒張していた.抗リン脂質抗体症候群(APS)と診断した.プレドニゾロン内服により皮膚潰瘍は治癒した.血栓症に対して下大静脈フィルターが挿入され,ワルファリンカリウム4mg/日内服中である.過去に報告のあった小児例を検討し,小児の原発性APSは成人例と比較して脳虚血性疾患を呈することが多く,肺症状は少ないという点が明らかとなった.

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© 2005 日本皮膚科学会
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