抄録
脂漏性角化症と診断した481例について,脂漏性角化症における重要な病理組織学的所見である角質囊腫と表皮内付属器との関連を病理組織学的に検討した.280例(58.2%)に角質囊腫と正常毛包の連続,あるいは,角質囊腫内容物に毛が存在するという毛包との関連が,33例(6.9%)に角質囊腫が真皮内エクリン汗管と連続しているというエクリン汗管との関連が,そして,13例(2.7%)に毛包とエクリン汗管の両者との関連があった.両者との関連は,すべて同一病変内の異なる部位で認められた.今回の結果より,脂漏性角化症における角質囊腫は,付属器上皮における腫瘍細胞の増殖により形成されると考えた.