日本皮膚科学会雑誌
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原著
タクロリムス軟膏外用により血中濃度が異常高値を示したNetherton症候群の1例
花川 佳子藤山 幹子花川 靖村上 信司橋本 公二小松 奈保子
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2005 年 115 巻 11 号 p. 1615-1621

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抄録

Netherton症候群は,曲折線状魚鱗癬,結節性裂毛,アトピー素因を3徴候とする症候群である.原因遺伝子は,角層のセリンプロテアーゼインヒビターであるlympho-epithelial Kazal-type related inhibitor(LEKTI)の一種で,セリンプロテアーゼインヒビターのKazal-type5(SPINK5)をコードする遺伝子である.遺伝子異常の結果,角層が過度に剥離し皮膚のバリア機能の破綻を生じることが,Netherton症候群の病態を形成すると考えられている.遺伝子診断によりNetherton症候群が診断されるようになると,アトピー素因以外の徴候がそろわない症例もあることが明らかになってきた.今回我々は,小児アトピー性皮膚炎におけるタクロリムス軟膏の外用試験において血中濃度が著しく上昇したため本症を疑い,遺伝子診断の結果,三徴候のそろわないNetherton症候群と診断した症例を経験した.

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© 2005 日本皮膚科学会
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