日本皮膚科学会雑誌
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皮膚科セミナリウム 第8回 痒み―基礎と臨床(1)
痒みの評価
上出 良一
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2005 年 115 巻 12 号 p. 1764-1770

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抄録

皮膚疾患の治療上痒みの制御は極めて重要であるが,止痒治療を適正に評価するには痒みの客観的評価が必要である.痒みの客観的評価は痛みにおける知見を基盤として最近大きな進歩が見られる.痒みの定量として最も使われているのが種々の評点やスケールを用いたもので,中でもVisual analogue scale(VAS)が簡便で感度も良く頻用されている.最近,電気刺激による知覚を基準として,それと比べて痒みを定量化する機器も開発されている.痒みそのものではなく搔破の程度を間接的指標とする方法も開発され,赤外線ビデオで夜間の搔破を直接観察したり,ストレインゲージや加速度計で手の動きを測定する方法が用いられている.PETやfunctional MRIで脳血流の増加を観察する方法も試みられている.痒みの定量のみならず痒みの性質を質問紙法でより詳細に解析することも行われている.新手法による痒みの評価の更なる進歩が期待される.

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© 2005 日本皮膚科学会
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