2005 年 115 巻 4 号 p. 591-595
患者は55歳女性で,SLE,ループス腎炎に伴う腎不全で透析療法中であった.2004年4月19日突然右大腿の激痛を自覚し,4月20日午後当科受診し入院となった.翌日には右大腿から臀部の広範囲にわたり紫斑,壊死が急速に拡大し,敗血症性ショックを生じた.直ちにデブリードマンを行い,全身管理を行ったものの,多臓器不全の状態となり5月2日永眠した.起因菌として,血液および壊死組織部から緑色連鎖球菌であるStreptococcus mitisが検出された.劇症型連鎖球菌感染症の原因菌はA群連鎖球菌であるStreptococcus pyogenesが大部分を占め,Streptococcus mitisは本邦では自験例が初である.しかし,海外では1980年代より報告されており,近年には中国で集団発生例もみられるため,今後本邦においても注意が必要と考えられる.