2007 年 117 巻 11 号 p. 1721-1726
1998年9月から2005年9月までの当病院におけるデング熱19症例について,その中の代表的な2例を症例呈示しながら,発疹の特徴を含めて臨床的検討を行った.初診時年齢は平均31.9歳と若く,全例が発症するほぼ前日まで推定感染国に滞在していた.臨床症状は,発熱,疼痛(頭痛・眼窩痛・筋肉痛・関節痛),下痢,白血球減少,血小板減少,肝機能障害,発疹がみられた.発疹は68.4%(13/19人)にみられ,解熱前日或いは解熱当日にかけて体幹・四肢を中心とした点状出血斑混じたびまん性紅斑を特徴とし,あたかもサンバーンのような発疹もあった.また,一部では紅色丘疹,手掌・足底の潮紅を伴った.海外渡航者の増えた現在,デング熱は発疹のみられる輸入感染症として皮膚科医も知っておく必要のある疾患と考えた.