2007 年 117 巻 3 号 p. 285-290
症例1:65歳,女性.2000年3月より全身の倦怠感が出現.4月下旬に食欲低下,脱力感に気づいた.5月1日当科受診時には,ヘリオトロープ疹と顔面の浮腫性紅斑,上胸部,上背部の紅斑がみられた.症例2:75歳,女性.2005年8月末より両手の腫脹,手掌紅斑が出現.当院内科で軽い間質性肺炎と診断される.原因検索のため10月当科紹介された.2症例とも筋原性酵素の明らかな上昇はなく,筋生検でも筋炎の所見はなかった.抗核抗体陰性,血清の免疫沈降法で抗140 kDa蛋白抗体陽性であった.Amyopatic dermatomyositis(ADM)1)2)と診断した.その後急速に間質性肺炎が進行したためステロイドパルス療法やステロイド内服及びシクロスポリン内服を行い有効であった.血清中に抗140 kDa蛋白抗体が存在するADMの症例は稀であるが,急性進行性間質性肺炎を合併する例が多いため重要な疾患と考えられる.