2007 年 117 巻 9 号 p. 1427-1432
その概念の端緒を1887年のUnnaの命名とする脂漏性皮膚炎は日々の外来診療でしばしば遭遇する疾患である.新生児期から乳児期に生じる乳児脂漏性皮膚炎と思春期以降に生じる成人期脂漏性皮膚炎に分類される.病因論的にはマラセチアとの関連が重要視されている.診断は被髪頭部,顔面,腋窩,鼠径部などの脂漏部位に脂性鱗屑を伴う紅斑を生じているのを観察することによって行い,その診断はたやすいと思われがちである.しかし,実は多種の皮膚疾患が似た臨床像を呈することが,この疾患の“一見易しそうに見えて難しい”点であり,ときに鑑別診断に悩む例もある.治療は部位と炎症の強さによって剤形の選択とステロイド外用剤とケトコナゾール外用剤の使い分けをどう行うかを理解しておくべきである.