日本皮膚科学会雑誌
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原著
当科における関節症性乾癬患者の臨床症状と日本語版 Health Assessment Questionnaire(Japanese Version of the Stanford HAQ;J-HAQ)の検討
川上 佳夫柳堀 浩克加藤 保信西部 明子大塚 幹夫山本 俊幸
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2008 年 118 巻 12 号 p. 2435-2440

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抄録

最近10 年間に当院皮膚科を受診した関節症性乾癬(psoriatic arthritis;PsA)患者を対象として,年齢,性,当科で PsA の治療を開始した時の皮疹の特徴とその重症度,関節症状の病型,炎症関節数,血清CRP 値,リウマチ因子について検討した.さらにこれまでで最も関節痛が強かった時期に関して,レトロスペクティブに日本語版 Health Assessment Questionnaire (Japanese Version of the Stanford HAQ;J-HAQ)のアンケート調査を行った.その結果,患者数は 22 人(男性17人,女性5人),平均年齢は 40.2 歳で,皮膚の症状は尋常性乾癬が 20 例,膿疱性乾癬が 2 例であった.関節症性乾癬の病型は DIP 型が 2 例,ムチランス型が 2 例,対称性多関節炎型が 9 例,非対称関節炎型(少数指趾型)が7例,強直性脊椎炎型が 2 例であった.皮疹発症から関節炎発症までの期間は平均 5.8 年で,皮疹先行例が 15 例,関節炎先行が 4 例,同時発症が 3例であった.リウマチ因子の陽性例は 13 IU/ml と軽度上昇を示した 1 例のみで,他は陰性であった.PASI スコアの平均は 10.2(n=15),血清 CRP 値の平均は 3.1 mg/dl(n=22),炎症関節数の平均は 6.8 個(n=21)であった.回答の得られた 17 例におけるJ-HAQ の Disability Index の平均は 1.23 で,炎症関節数,血清 CRP 値および PASI スコアとの間に有意な相関関係は認めなかった.しかし,症例を当科で治療開始時の関節痛が最も強いと回答した 9例に限定した場合には,JHAQ の Disability Index は炎症関節数および血清CRP 値との間に強い正の相関を認めた.

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