日本皮膚科学会雑誌
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原著
フィナステリドによる内服治療を実施した男性型脱毛症患者の病型分類と内服薬の有用性,患者アンケートに関する解析
宮倉 崇大越 加奈恵水上 潤哉室 繭子山本 真実荒井 佳恵永井 彩子入澤 亮吉山崎 正視坪井 良治
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ジャーナル 認証あり

2008 年 118 巻 2 号 p. 213-219

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抄録

2005年末のフィナステリド(プロペシア®)の発売以来,東京医科大学病院皮膚科では2006年11月までに449名の患者が内服治療を受けている.初診時に男性型脱毛症の病型分類と患者の体毛の濃さを診察し,あわせて家族歴,環境因子,現在までの治療,内服薬への期待などについてアンケート調査を行った.また,6カ月以上内服した症例については,使用前の臨床写真と比較して有効性を判定した.これらの調査の結果,受診患者のNorwood-Hamilton分類は軽症のII型が43%,III型が17%と両者で約半数を占め,重症のVI型,VII型は10%以下であった.有効性の判定では,「やや改善」以上は内服半年後で66%であった.髭,胸毛,四肢など体毛同士の比較では,その他の体毛と比べて髭,下肢が濃い傾向が認められた.家族歴では患者の父親に男性型脱毛症があるのが68%で,祖父は44%であった.また,内服脱落例は全体の17%であり,受診時年齢,家族歴,飲酒の有無が脱落症例と関連が認められた.内服経過中に重大な副作用を生じた症例はなく,服用中止は1例であった.

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© 2008 日本皮膚科学会
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