2008 年 118 巻 5 号 p. 925-931
46歳,女性.誘因無く末梢血好酸球数が7,686/μlと上昇し四肢に指圧痕を残さない浮腫が出現,体重は6 kg増加した.生検組織像では真皮の浮腫と血管周囲,膠原線維間に好酸球とリンパ球の浸潤を認め,心機能,腎機能を含めて内臓臓器に異常なくnon-episodic angioedema with eosinophilia(NEAE)と診断した.無治療で経過を観察したところ12週で軽快した.NEAEの治療にはステロイドが有効とされ,また抗アレルギー薬,抗ヒスタミン薬も効果があるといわれる.そこで,本邦で報告されたNEAE 60例について記載をもとにその傾向と治療効果を分析した.症例は全例が女性で浮腫は四肢に限局し,90%が夏季から秋季に発症していた.無治療例と比較しステロイド投与例では治療に要した期間が有意に短かった一方で,抗アレルギー薬や抗ヒスタミン薬投与例と無治療例との間に有意差は無かった.NEAEに対する抗アレルギー薬,抗ヒスタミン薬の効果は自然経過を見ているに過ぎない可能性がある.