日本皮膚科学会雑誌
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原著
コチニール色素によるアナフィラキシーの1例
竹尾 直子仙波 京子片桐 一元藤原 作平廣重 滋夫大西 邦義鈴木 幸雄
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2008 年 118 巻 6 号 p. 1085-1093

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抄録

23歳,女性.1年前より計4回にわたり膨疹や顔面腫脹を生じるエピソードを繰り返し,症状は次第に重篤化していた.2006年2月カンパリオレンジを含む食事を摂取後,全身に膨疹が多発,眼瞼,口唇は著明に腫脹し,呼吸困難を伴い救急病院へ搬送され,治療後,精査目的にて当科へ紹介された.問診では各エピソードで共通の食物は見出せず.食品添加物,着色料,アスピリンの負荷試験は陰性であった.実際に摂取した食物での負荷試験(アスピリン前投与)により,イチゴ牛乳(果汁含有乳性飲料;A社製),魚肉ソーセージ(B社製),カンパリ(リキュール;原産国イタリア)の単独あるいは同時摂取によりアナフィラキシー症状が誘発された.これらに共通して含まれるコチニール色素による負荷試験では,アスピリン前投与の上,大量の色素を投与することで誘発が可能であった.患者血清を用いた Western-blotting法ではコチニール色素に含まれる約40kDaの4つのバンドに反応するIgE抗体を認めた.

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© 2008 日本皮膚科学会
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