2008 年 118 巻 9 号 p. 1709-1712
最近6年間に当科にて造血幹細胞移植後GVHDを疑い生検施行した11症例(男6名,女5名)について検討した.11例中7例において,病理組織学的にGVHDの所見が確認された.皮疹の臨床像・皮膚以外の臨床症状・臨床検査所見と組織学的所見の関連について検討を行ったところ,皮疹の臨床像・部位・範囲は組織学的所見の有無に直接結びつかなかった.皮膚以外の臨床症状では,下痢が認められた3例はいずれも組織学的所見を有していた.臨床検査所見では,肝GVHDの指標とされる総ビリルビンは,組織学的所見との関連に乏しかった一方,γ-GTPは,上昇例に組織学的所見を有する例が多く,GVHDの診断において,生検の必要性を判断する上での1つの指標となる可能性が考えられた.