2009 年 119 巻 10 号 p. 1985-1991
76歳女性.初診の2カ月前から耳介に熱感・疼痛を伴う発赤・腫脹が出没を繰り返していた.病理組織学的に軟骨組織への単核球を中心とした稠密な炎症細胞浸潤が見られ,再発性多発軟骨炎と診断した.臨床検査所見では抗II型コラーゲン抗体が陽性で,抗サイログロブリン抗体・抗マイクロゾーム抗体も陽性であった.頸部CTでは明らかな喉頭・気管の異常所見は無いものの甲状腺のびまん性の腫大が見られ,橋本病の合併が考えられた.生検後の再診時には自然軽快し,外来にて経過観察中である.過去10年間に本邦において報告された再発性多発軟骨炎124例をまとめたところ,抗II型コラーゲン抗体陽性例では陰性例と比較して重篤となる可能性が高く,より慎重なフォローアップが必要と考えた.