2009 年 119 巻 11 号 p. 2181-2186
過去20年間にケロイド・高度肥厚性瘢痕の診断のもと,切除術および術後電子線照射療法を行い,術後8カ月以上経過観察しえた375部位について再発と発症部位,発症原因の関連を検討した.再発率は29.0%,発症部位は肩や胸部が多く,発症原因はBCG接種,帯状疱疹,痤瘡が多かった.統計学的検討では発症部位よりも発症原因の方が再発に強い影響を与えるという結果を得た.発症部位だけでなく発症原因についても充分考慮し,慢性的な炎症反応を制御することが発症率,再発率を低下させるために必要であると考えた.さらに,再発と手術方法,術後経過の関連を検討したところ,3点縫合,創縁の接着不良をきたした症例で再発率が高かった.その原因として,①充分な減張を行うこと,②3点縫合を可能な限り避けること,③真皮縫合を浅めにかけないことが重要であると考えた.