日本皮膚科学会雑誌
Online ISSN : 1346-8146
Print ISSN : 0021-499X
ISSN-L : 0021-499X
原著
筋周皮腫(myopericytoma)―10例の検討と疾患概念の考察―
福本 隆也安斎 眞一木村 鉄宣
著者情報
ジャーナル 認証あり

2009 年 119 巻 3 号 p. 327-335

詳細
抄録

筋周皮腫(myopericytoma)は,1998年にGranterらが記述した,主に成人の四肢の末梢側の皮下に好発する比較的新しい概念の良性腫瘍である.今回,我々は10例の筋周皮腫を経験し,臨床病理学的に検討するとともにその疾患概念について考察した.男女比は8:2と男性に多く,平均年齢は69歳と高齢者に多かった.すべて単発例で,8例が四肢遠位部に発生していたが,下顎と肩に発生した例が1例ずつあった.多くの例(8例)で痛みを伴っていた.病理組織像では,特徴的な血管周囲性の同心円状の短紡錐形細胞の増加の他に,いわゆる血管周皮細胞腫様パターン(hemangiopericytomatous pattern)が5例にみられ,筋線維腫(myofibroma)に類似する像が3例にあった.また,血管平滑筋腫(angioleiomyoma)に類似する部位をもつものが3例,グロムス細胞に類似した細胞が部分的にみられる例が2例あった.免疫組織化学的にはα-smooth muscle actinが,調べえた6例全例で紡錘形細胞にびまん性に陽性に染色された.CD34は6例中5例で部分的に陽性で,desmin,S-100蛋白は陰性であった.筋周皮腫は,筋線維腫(症),グロムス腫瘍,血管平滑筋腫と形態学的な類似性があり,これらの疾患と連続的なスペクトラムを形成する良性腫瘍であると考えた.

著者関連情報
© 2009 日本皮膚科学会
前の記事 次の記事
feedback
Top