日本皮膚科学会雑誌
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原著
金属銅を用いた病棟内MRSA汚染の拡散防止の試み
新山 奈々子天羽 康之阿部 美知子斎藤 晴夫笹原 武志勝岡 憲生
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2009 年 119 巻 5 号 p. 899-906

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抄録

今回我々はメチシリン耐性黄色ブドウ球菌(methicillin-resistant Staphylococcus aureus,以下MRSAと略す)の院内拡散を防止する対策に殺菌特性をもつ金属銅が活用できるかについて検討した.まず,in vitro殺菌試験において患者由来MRSA株はS. aureusおよびMRSAの各標準菌株と同程度に接触反応時間に比例して漸次殺菌され,180分で完全に殺菌された.また,銅表面上にフィルターをのせ菌体が直接接触できないようにした場合には180分後でもわずかしか殺菌されなかった.これらのことから,金属銅はMRSAを含むS. aureusに対して強い殺菌性を示し,その殺菌効果発現には菌体が金属表面に直接接触することが重要であることが明らかとなった.次いで,MRSA保菌患者ベッド周辺の床に銅板を設置したところ,同部床のMRSAを含むS. aureusおよびその他のブドウ球菌(other Staphylococcus)の菌数が有意に減少した.MRSA汚染のリスクが大きい病室ベッド周辺や処置室の床周囲への銅板設置は病棟内MRSA汚染の拡散防止策のひとつとして有用であると考えられる.

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© 2009 日本皮膚科学会
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