日本皮膚科学会雑誌
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原著
臀部に巨大な腫瘤を呈した脊索腫の1例―クロストリジウム性ガス壊疽の合併―
竹内 藍子出口 順啓岩本 拓川村 龍吉柴垣 直孝松江 弘之島田 眞路大竹 直人
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2009 年 119 巻 6 号 p. 1065-1068

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抄録

80歳,女性.仙骨部褥瘡の細菌感染の疑いで当科を紹介受診した.初診時,臀部は約40×30 cmと巨大に腫大しており,仙骨部には12×11 cm大の白色潰瘍が認められ,左臀部全体に発赤・熱感・握雪感を伴っていた.単純X線にて同部位にガス像が認められたため,仙骨部褥瘡からの細菌感染によるガス壊疽を疑い,同日に緊急切開術を施行した.しかし,術中所見では,潰瘍底から臀部皮下全体が容易に崩れる白色腫瘍塊で置換されていた.後に患者は脊索腫にて数回手術歴があることが判明し,仙骨部の白色腫瘍塊の病理組織学的所見も脊索腫に矛盾しなかった.術後の胸腹骨盤CTにて骨盤内のほとんどを腫瘍が占めており,椎体,腸骨も腫瘍の浸潤により破壊されていた.創部からの細菌培養ではClostridium perfrigensを認め,クリストリジウム性ガス壊疽を伴う脊索腫と診断した.脊索腫は皮膚科領域で稀な疾患であるが,仙尾骨部および脊椎領域における白色潰瘍をみた際には本疾患も念頭におく必要があると考えられた.

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© 2009 日本皮膚科学会
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