日本皮膚科学会雑誌
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皮膚科セミナリウム 第51回 膠原病1
強皮症
藤本 学
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2009 年 119 巻 8 号 p. 1535-1542

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抄録

全身性強皮症(Systemic sclerosis:SSc)は線維化と血管障害の二つの病態からなる自己免疫疾患である.SScは非常に不均一な疾患であり,軽症例から重症例まで様々で,症状も症例毎に差があり,皮膚硬化の範囲からlimited cutaneous SScとdiffuse cutaneous SSc(dcSSc)の2型に分類される.SScの典型例の診断は容易であるが,早期例や軽症例を見落とさないことが大切である.SScの診断にあたっては,手の所見が重要であり,特に爪上皮出血点とPIP関節の皺が,それぞれ血管障害と線維化の最も鋭敏な指標となる.SScの病型や出現しやすい症状は,特異抗核抗体と密接に相関する.抗トポイソメラーゼI抗体,抗セントロメア抗体のほか,抗RNAポリメラーゼ抗体,抗Th/To抗体,抗U3RNP抗体が重要である.SScの治療にあたっては,病型と病期を把握することが重要であり,早期のdcSScには副腎皮ステロイド内服が考慮される.そのほかに,個々の症例にあわせたきめこまやかな対症療法が必要である.

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© 2009 日本皮膚科学会
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