2010 年 120 巻 1 号 p. 45-54
九州大学病院皮膚科を2007年1月から2008年12月に初診した2,643名のなかで,湿疹皮膚炎群の患者は28%(740名),そのうちアトピー性皮膚炎患者は8%(224名)であった.Skindex-16とDermatology Life Quality Index(DLQI)を用いたQOLの検討では,湿疹皮膚炎群患者のQOLは他疾患群患者に比べ有意に低下していたが,そのなかでもアトピー性皮膚炎患者のQOLはさらに有意に低下していた.全患者では,Skindex-16の総合,感情,DLQIの総合,症状感情,日常活動スコアで女性のQOLが男性よりも低下していたが,アトピー性皮膚炎患者においては男性が有意に高かったDLQIの治療スコアを除いて,男女間に差はみられなかった.年代別に比較すると,全患者では年代が低いほどQOLが障害されている傾向があったが,アトピー性皮膚炎患者ではその傾向がみられなかった.