日本皮膚科学会雑誌
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原著
透析患者にみられた造影剤による固定薬疹の3例
久保田 由美子中山 樹一郎
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ジャーナル 認証あり

2010 年 120 巻 4 号 p. 861-869

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抄録

症例1:67歳男性.2年半前,透析導入.1年半前より肝癌にてTAEを2回施行.イオパミドールによるシャント造影の翌日,イオヘキソールによる造影CT後,指間,口唇に痛痒い水疱出現.症例2:63歳女性.6年半前,透析導入.4年前よりシャント造影のたびに口唇のピリピリ感,腫脹,水疱形成を繰り返していた.症例3:68歳女性.6年前,透析導入.1年前より,顔面,腰臀部,四肢遠位側の同じ部位に痛痒い紅斑が出没していた.数日前,色素沈着部に紅斑が出現.症例1と3は紅斑部の特徴的な病理所見で固定薬疹と診断.症例1は再投与により皮疹が再現され,また症例2は口唇での使用テストにていずれもイオパミドールが原因と判明.症例3は病歴よりイオメプロールが原因と判明した.造影剤による薬疹は多形紅斑型や播種状紅斑丘疹型が多く,重症化することは少ないといわれているが,自験例のように粘膜症状が主体の固定薬疹も少数ながら存在することを知っておくべきである.特に頻回にシャント造影を行う透析患者は注意が必要である.

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