2010 年 120 巻 4 号 p. 881-886
48歳女性.1992年に全身性エリテマトーデス発症.2005年8月,全身の浮腫と皮膚の多発潰瘍のため紹介され入院した.ステロイドパルス療法にて潰瘍,浮腫ともに改善したが,ステロイド減量中に小腸穿孔を併発した.保存的に加療するも難治であり,再燃を繰り返した.さらに下大静脈血栓症も併発し,治療に難渋した.腹痛の出現以前に,ループス腸炎と合併しやすいといわれる膀胱炎を併発しており,小腸穿孔の原因はループス腸炎と考えた.一般にループス腸炎では,腹痛,悪心,嘔吐,下痢などの軽微な症状が主体であり,ステロイド全身投与に速やかに反応するといわれている.しかしながら,自験例のように重篤な症状をきたす例もあるため注意を要する.