日本皮膚科学会雑誌
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原著
保湿剤の効果に及ぼす入浴と塗布時期の関係
野澤 茜大谷 道輝松元 美香大谷 真理子山村 喜一成谷 さやか杉浦 宗敏内野 克喜江藤 隆史
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2011 年 121 巻 7 号 p. 1421-1426

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抄録

アトピー性皮膚炎の治療における保湿剤の塗布時期は,入浴直後の角層中水分量が多い時期が効果的と考えられているが,連用した詳細な報告はない.そこで,保湿剤を連用した際の入浴後塗布時期と保湿効果の関係について検討した.健常成人8名を対象に40°C,20分間入浴の1分後と1時間後にヘパリン類似物質含有製剤,白色ワセリンおよび尿素軟膏を2週間塗布し,角層中水分量を試験前および開始後に測定した.角層中水分量はいずれの保湿剤でも,入浴の1分後と1時間後の間に有意差は認められなかった.これらのことから,保湿剤の塗布時期は入浴直後と1時間後で差がなく,患者が毎日好きな時間に塗布するように指導することでコンプライアンスの向上が期待できることが示唆された.

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© 2011 日本皮膚科学会
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