日本皮膚科学会雑誌
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原著
Crohn病に合併したSweet病の経過中に多発性骨髄腫と壊疽性膿皮症を発症した1例
國行 秀一吉田 有紀山中 一星前川 直輝金島 広藤林 保
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2012 年 122 巻 1 号 p. 31-37

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抄録

70歳,女性.10年前より,近医消化器内科・皮膚科にてCrohn病(CD)に伴うSweet病(SD)と診断され,治療を受けていた.その後,2003年より当院消化器内科にてヨードカリ900 mg/日,プレドニゾロン7.5 mg/日内服にて維持療法中であった.SDの皮疹はほぼ寛解していたが,初診の1カ月前より胸背部に浸潤性紅斑・びらんが出現し,頭頂部および手指にも拡大した.病理組織像では真皮全層に好中球およびリンパ球浸潤がみられたため,壊疽性膿皮症(PG)と診断した.著明な貧血・血小板減少を合併.骨髄生検にて骨髄腫細胞,血清蛋白電気泳動にてモノクローナルなIgAλ鎖の増加,尿中Bence-Jones蛋白陽性であった.以上よりIgAλ型多発性骨髄腫(MM)の合併と診断した.プレドニゾロン増量(30 mg/日)内服により,PGの皮疹は軽快したが,MMはMP(prednisolone, melphalan)療法,Bortezomib静注療法にても寛解せず,貧血,血小板減少,呼吸器感染症,慢性呼吸不全症状などは持続し,現在も治療継続中である.原疾患であるCDの増悪が認められないにもかかわらず,新たにPGが発症した場合には,血液疾患等の合併症精査以外に消化器系を含めた悪性腫瘍の合併を念頭に精査する必要があると考えられた.CDに伴うSDの経過中にMMに合併した壊疽性膿皮症の症例は,国内外で調べ得た限り,過去に同様の報告はみられなかった.自験例はneutrophilic dermatosis of myeloproliferative disorders(Caughman 1983)のスペクトラムに属する病態と思われる.

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