日本皮膚科学会雑誌
Online ISSN : 1346-8146
Print ISSN : 0021-499X
ISSN-L : 0021-499X
原著
血栓性静脈炎を契機に診断されたBehçet病の1例~当教室におけるBehçet病の初発症状についての検討~
奥 謙太郎大塚 幹夫山本 俊幸
著者情報
ジャーナル 認証あり

2012 年 122 巻 10 号 p. 2481-2485

詳細
抄録

27歳女性.2008年5月から両側下腿に有痛性皮疹が出現,両側下腿伸側に爪甲大の浸潤を伴う皮下硬結が数カ所認められた.生検組織では皮下小静脈内に血栓形成,血管壁周囲に巨細胞を混じる炎症細胞浸潤を認め,血栓性静脈炎と診断した.経過中に口腔内アフタ性潰瘍・食道潰瘍・小腸潰瘍が出現し,関節炎・HLA-B51陽性・針反応陽性も認めたことから血栓性静脈炎を初発症状とする腸管型Behçet病と診断した.Behçet病の初発症状について,過去20年間の当教室経験症例および多国間症例での比較検討を行った結果,国を問わず血栓性静脈炎のみで初発する頻度は低い傾向にあった.本症例ではカルジオリピン抗体が軽度陽性であったことに加え,立位の多い生活環境が血栓性静脈炎を初発症状とした一因と考えた.

著者関連情報
© 2012 日本皮膚科学会
前の記事 次の記事
feedback
Top