日本皮膚科学会雑誌
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原著
当科における過去10年の乳房外Paget病に対する治療経験
黒岡 定浩並川 健二郎堤田 新田中 亮多加藤 潤史山崎 直也
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2012 年 122 巻 12 号 p. 2891-2897

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抄録

2001年1月~2010年7月に国立がん研究センター中央病院皮膚腫瘍科を受診し,治療を行った計101症例を検討した.男性67例,女性34例,年齢は41歳から85歳(平均69.9歳),部位は外陰部89例,肛門周囲6例,腋窩5例,外陰部/腋窩に重複が1例であった.当科では,術前検査で遠隔転移を認めなければ外科治療を第一選択とし,原発巣に結節を認める症例や部分生検で真皮浸潤を認める症例については,センチネルリンパ節生検術またはリンパ節生検術を追加し,リンパ節転移を認めれば所属リンパ節郭清術を施行している.リンパ節転移が1個または2個であれば5年生存率は100%であるが,リンパ節転移が3個以上の症例では,5年生存率は0% で生存率に有意差を認めた.また,外陰部原発症例などで両側鼡径リンパ節に転移を認める症例や多発リンパ節転移症例は所属リンパ節郭清術を行ったとしても予後改善に結び付かないため,縮小手術を考慮し患者のQOLを損ねないようにすることも大事である.切除不能リンパ節転移症例や遠隔転移症例については,FECOM(5-FU/Epirubicin/Carboplatin/Vincristine/MitomycinC)療法やタキサン系薬剤を用いていることが多いが治療に抵抗性な場合が多く予後は非常に悪い.当科で経験した症例について検討を行った.

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